
ALSとは?筋委縮性側索硬化症という難病と闘う
ALSの正式名称は、筋委縮性側索硬化症と言います。平成27年1月1日から難病に指定され、現在日本全国で約9200人の人が患っている病気です。
1年のうちにALSを発症する割合は、10万人に1~2.5人というごくわずかですが、原因が明らかになっていないため、誰がかかってもおかしくない状況であると言えます。しかも治療法は確立されていません。
何から何までわからないことだらけのALSとは、どんな病気なのでしょうか。
ALSの発症
ALSの発症は、肘から下の主に手指の感覚がなくなっていくことで自覚することが多いです。
ちゃんと持ったつもりでも物を落としてしまったり、字が書きにくくなったりすることがあります。
また、のどや舌の筋力が低下することから始まることもあるので、話しづらくなったり、食べ物を飲み込みにくくなったりすることが初期症状の場合もあります。
病状が進行する速度に個人差はありますが、呼吸するための筋肉を含めて、全身の筋力が衰えていき、いずれは歩けなくなります。
ALSの進行の経緯
その後は、手を動かすことが完全にできなくなり、話すことができなくなります。食べ物を飲み込むことができなくなるので、流動食のようなものを食べるようになります。
そして呼吸をするのが困難になる前に、2つの選択肢を迫られます。気管切開手術をして、人工呼吸器をつけて生きるか、呼吸ができなくなったら、そのまま自然に任せて死を選ぶかという、極めて過酷な選択です。
しかも一度人工呼吸器をつけると、現在の法律では二度と外せないことになっています。
人工呼吸器をつけるという選択
なぜ人工呼吸器をつけることがつらいかというと、ALSは一度発症すると、進行し続けることしかないという病気です。
つまり体はどんどん機能できなくなるのに、呼吸だけ人工的にしているという状態です。
そんな毎日がつらくなって、自分が「もう外して欲しい」と思っても、外してもらえないということなのです。
まさに生き地獄を味わうことになるかもしれないほど、大きな決断を迫られるのです。
病状の進行速度
一度ALSにかかると、症状が軽くなるということはあり得ませんので、進行するばかりです。そしていずれはほとんどの場合、呼吸不全で命を落とすという運命が待ち受けています。
人工呼吸器をつける場合、基本的には事故が起きない限り、生き続けることができます。
しかし実際には、家族などへの身体的負担や経済的負担、もしくは自分が苦しみ続けることへの不安から、人工呼吸器をつけないことを選ぶ人もいます。
そのような場合には、発症から2~5年で死亡する人が多いものの、中には10数年生き続ける人もいます。
進行の速度は人それぞれで、もちろんもっと早く呼吸困難を引き起こす場合もあります。
ALSの本当の怖さ・つらさ
ALSという病気は、常に進行を続けます。
体じゅうの筋力がなくなって、体を動かすことができず、話すこともできず、食べることも飲むこともできないのに、内臓や脳、痛みなどの感覚ははっきりしているということです。
つまり、認知症を併発しない限り、意識がしっかりしているし、健康体であるのにも拘らず、体が機能しないという状況になるのです。
最後に
ALSという難病のことが少しでもご理解頂けましたでしょうか。発症する確率は確かに低いですが、決して人ごとではありません。
自分がもしくは身近な人がALSにかかってしまったときのために、少しでも理解を深め、心構えをしておくことも必要です。