
子宮筋腫に効果があるピルの効用とメリット・デメリット
子宮筋腫で出血量が多いなどの症状がある場合、ピルを使う場合があります。今回は、ピルのメリット、デメリットについてお話したいと思います。
■ピルって何?
ピルは経口避妊薬として使われており、卵胞ホルモンと呼ばれる「エストロゲン」と黄体ホルモンと呼ばれる「プロゲステロン」の2種類のホルモンを成分としています。
これらのホルモンの働きで排卵や子宮内膜を厚くすることを抑制し、子宮頸管をよりねばねばした状態にして、避妊を行うお薬です。
避妊以外にも、月経痛の緩和や、月経前症候群(PMS)の緩和などの効果もあります。
■ピル使用のメリット
子宮筋腫では、月経困難症や月経前症候群の改善を目的として使用されます。
子宮内膜が厚くなることを抑えるため、出血量が少なくなったり、子宮収縮が軽くなったりする効果があります。また、月経周期が改善されることや出血量が抑えられることで、貧血を改善します。
それ以外にも、ピルを使用することで以下のような避妊以外の効果もあります。
①繊維線腫などの良性乳房疾患の発生率の軽減
作用機序はよくわかっていませんが、黄体ホルモンの効果によるようです。
②子宮体がんの発生率の軽減
プロゲステロンの効果により、子宮体がんに罹患するリスクが減ります。長期間のピルの服用により効果が発現します。
③子宮内膜症の症状緩和
子宮内膜の増殖抑制の効果により子宮内膜が厚くなることを抑えるので、子宮内膜症に罹患している人は疾患の進行を抑えます。
④卵巣癌の発生率減少
排卵によって卵巣へのダメージが減るため、卵巣に起こる疾患のリスクがへります。
■ピル使用のデメリット
ピルも薬なので、服用をするには注意をしなければなりません。ピルを使用することでメリットがあるように、以下のようなデメリットも存在します。
- ①虚血性脳卒中のリスク増加
- ②喫煙者の心血管系の障害のリスクの増加
- ③静脈血栓症のリスクの増加
ピルは、血液を固まらせやすくする効果があります。そのため、脳梗塞や心筋梗塞など、血液で血管がつまる病気が起こりやすくなるのです。
また、服用を開始して1~2か月は、吐き気や乳房の張りなどの症状や少量の不正性器出血を起こすことがあります。
これは、身体の中のホルモンのバランスが、ピルの服用によって崩れるためです。ピルの内服を継続して身体が慣れてくれば軽減するでしょう。
■ピル使用の禁忌
ピルの服用は、35歳以上で1日15本以上の喫煙者、高血圧や糖尿病のある者、授乳中の者、産後4週以内の者などがあります。
これは、ピルを服用することで心臓や血管の障害、脳血管障害、血栓症などのリスクが上がるためです。
最後に
子宮筋腫では、出血を軽くして貧血の進行を抑えるためにピルを処方されることがあります。服用する際は、医師の指示通りに内服して定期的に診察を受けるようにしましょう。
また、ピルは効果が出る前に副作用が出て様々な症状が出ます。使用を継続してくると徐々に身体が慣れてきますが、日常生活に支障が出るなどの不具合を感じたら医師に相談しましょう。