
子宮筋腫の大きさによる治療方法の目安
今回は子宮筋腫の治療法についてお話します。子宮筋腫を持った人のすべてが手術を行うわけではありません。
様々な条件で、治療方法も異なってきます。子宮筋腫は成人女性の罹患率が高い疾患のため、まだ子宮筋腫でない人も、もし子宮筋腫になったら、どのように治療を進めていきたいか考えていきましょう。
子宮筋腫とは?
子宮の筋肉層に発生する良性の腫瘍です。生殖年齢の女性の約4~5人に一人の割合で発生します。
ほとんどが子宮体部に発生し、悪性化することは稀です。人によっては子宮の様々な部分に多発することもあります。
子宮筋腫の治療方法
子宮筋腫を持ったすべての女性が手術を行うわけではありません。
治療の種類としては、大きく分けると数か月ごとの検診を行う経過観察、子宮の発育を抑制する薬物療法、手術療法の3つがあります。
子宮筋腫の治療と経過観察の判断は、過多月経による高度の貧血、圧迫症状、疼痛、筋腫の大きさと存在している部位、年齢、妊娠の希望があるかどうかなどを総合して行われます。
また、子宮筋腫の成長度合いは人によって違います。症状が強い場合や筋腫が大きい場合、大きくなる速度が速い場合などは、治療を行います。
症状が経度であったり、筋腫が小さかったりするものは経過観察となります。
①悪性の疑いがある場合
腫瘤と呼ばれるコブの大きさが8cm以上であり、MRIで悪性の所見があった場合には、根治療法としての単純子宮摘出術を行います。
②悪性の疑いがない場合
腫瘤の大きさが8cm未満で、内診の所見で子宮が拳の大きさよりも小さく、MRIで良性腫瘤の所見の場合は、症状により治療方法を決定します。
症状が軽度の場合は、約3~6か月ごとの検診を行って経過観察をします。
過多月経によって貧血がひどかったり、腫瘤が大きくなることで便秘や腰痛など子宮周辺の臓器症状がでたり、急に筋腫が大きくなったりする場合は、根治療法か保存療法を選択します。
妊娠の希望がない場合は、単純子宮全摘術を行います。妊娠の希望があるのならば、保存療法として、筋腫核出術かGnRHアゴニスト(偽閉経療法)と呼ばれる薬物治療を選択します。
その他の治療として、子宮に栄養する血管を塞いで、筋腫を壊死させて縮小させるUAE(子宮動脈塞栓術)や、子宮に超音波をあてて、筋腫を焼却するFUS(MRガイド下集束超音波療法)と呼ばれる手術もありますが、これらの治療を行うには、妊娠の希望がないことが前提です。
また、UAEは、症状があり閉経前の筋腫が適応となり、FUSは筋腫の直径が12cm以下で数が3つ以内が適応との条件があります。
最後に
いかがでしたでしょうか?
治療法といっても、進行状況によっては手術一択ではなく、様々な方法があります。また、妊娠希望の有無によっても治療法は異なってきます。
子宮筋腫は、罹患率が高い疾患であり、歳を経るにつれて罹患する可能性は高くなります。
子宮筋腫となった場合、どのような治療を行いたいか、妊娠を希望するのかなど、あらかじめ検討しておくとよいでしょう。