
怖い小児病「心筋炎」の症状と原因
心筋炎は診断の難しい感染症です。大人では気付かないまま放置していた!なんてこともあります。
しかし、子どもがこの病気にかかると、半数近くが命にかかわり、後遺症が残ることもあります。あまり知られていない怖い心臓の病気「心筋炎」。
きちんと知識をつけて早く気付けるよう学んでいきましょう。
症状
心筋炎のほとんどが寒気、熱、頭痛、筋肉痛、だるさといった風邪に似た症状から始まります。食欲がない、気持ちが悪い、吐く、おなかを下すといったおなかの症状から始まることも多いです。
その後、数時間~数日で心臓の症状が出ます。具体的には以下のようなものがあります。
- ①心不全症状:息切れや呼吸困難、むくみ
- ②胸の痛み
- ③不整脈症状:脈が速い・遅い、心電図の異常
症状がはっきりしていないため、病院でも気付かれないことが多いです。風邪症状やおなかの症状のあと、すぐに心臓や肺の機能が悪化し命にかかわることがあります。
ちなみに心電図の異常についてはこちらを御覧ください。
診断が難しい心筋炎が出す心電図の特徴とは
原因
ウイルス感染がほとんどです。風邪の原因となるアデノウイルスやエンテロウイルス、よく知られているインフルエンザウイルスも心筋炎の原因となります。
インフルエンザで命を落とす方の約13%が心筋炎とも言われています。保育園の集団感染で心筋炎にかかることもあります。
また、ウイルス以外にも細菌や寄生虫の感染症、アレルギーなどの免疫疾患、薬や放射線、熱射病や妊娠からも心筋炎になることもあります。
子どもの心筋炎
命にかかわる子どもの心筋炎の頻度はおよそ20万人に1人と多くはありません。
子どもの心筋炎は、急に症状が悪化する劇症型心筋炎が30~ 40%。風邪症状から始まる急性心筋炎が40~ 50%。慢性心筋炎は稀です。
劇症型心筋炎は急に症状が悪化し、死に至ることもあるため早期発見・早期治療が肝心です。急性心筋炎では1/3が完全に回復し、1/3で後遺症が出ますが回復すると言われています。
子どもでは不整脈が残ることがあるため、回復した後も長い期間きちんと診察を受ける必要があります。
新生児の心筋炎
生まれる前から赤ちゃんの心不全症状が見られることがあります。早く見つけるためにも妊娠中の定期健診はとても重要です。
おなかにいるはずなのにうつるのも不思議ですが、お母さんからの感染だけでなくお父さんからの感染にも注意が必要です。
新生児の心筋炎の2/3は劇症型心筋炎で、命にかかわる確率が50%以上と高いです。低出生体重児もリスクになります。
症状は生まれてすぐから不機嫌、吐く、呼吸困難などがあり、不整脈など心臓の症状が見られます。
最後に
心筋炎は病院にかかっても発見されにくい病気です。大人では自然に治ることもありますが、子どもでは命にかかわることが多い恐ろしい病気です。
一刻も早く病気を見つけ、心臓や肺の機能を守ることで命をつなげる可能性も見えてきます。
子どもが伝える病気の症状を正しく判断することは実の親にも難しいことです。
ただの風邪だろう、おなかの病気だろうと軽く流さず、疑わしい場合は迷わずに、すぐに病院で診察を受けてください。