
妊婦にお勧めの寝方「シムス」とは
妊娠中の方!ご懐妊おめでとうございます。
今回紹介する寝方「シムス」は妊娠中期以降お腹が大きくなってきたときに最適な寝方です。
妊娠中だけでなく意識のない方、急な腰痛にも応用できます。いざと言う時のためにも覚えておきましょう。
「シムス」って?
「婦人科学の父」と呼ばれ、アメリカ婦人科協会を設立した産婦人科医ジェームス・マリオン・シムスによって考案されました。
彼の名前をとり「シムスの体位」と呼ばれています。日本では昏睡体位や回復体位とも呼ばれ、直腸診や分娩の始め、妊娠中の腰痛予防、意識がないときの呼吸確保のために使われます。

どうして「シムス」がいいの?
*妊娠中の方
妊娠中期以降ではおなかがだんだんと大きくなります。仰向けで寝るとこのおなかが背中の右側にある大きな静脈を圧迫し、低血圧を起こしてしまいます。
この状態が続くとお母さんの意識がなくなってしまうこともあります。それだけでなく、赤ちゃんに流れる血液の量も少なくなり低酸素状態となってしまう危険な状態です。
シムスの体位は静脈を圧迫することなく、子宮の中の血流も良くしてくれます。お母さんにも赤ちゃんにも優しい寝方なのです。
妊娠中の腰痛予防にもこの「シムス」は効果的です。妊娠中のマイナートラブルで最も多いのは腰痛です。原因はおなかが前にせり出しているため、背中が普段に増して反り返っていることです。
試しに誰かに自分の背中と妊娠していない人の背中を比べてもらうとよくわかります。シムスの体位で寝ることで腰痛を和らげ、腰への負担を減らすことができます。
*意識のない方
完全に意識を失ってしまうと、自分の吐いた物や舌が落ちることにより呼吸が出来なくなります。シムスの体位で横になると吐いた物で喉が詰まる、舌が落ちて呼吸ができなくなるという状況を防ぐことができます。
*直腸診察の時
患者の後ろ側から患部の確認・診察が簡単にできるため使われています。
■どうやって寝るの?
さて、ここからが本題です。実際に「シムスの体位」で寝てみましょう。
- 左側を下にして横向きに寝ます
- 左足はまっすぐ伸ばすか、軽く曲げます。右足は左足より前にくるように曲げます
- 左腕は曲げて頭の下に置くか、背中側にまわします。右腕は前に投げ出し軽く曲げます
- 気持ちの良いように頭の下や腕の下、膝の下に枕やクッションを挟むのもオススメです
どうでしょうか?何となく楽な感じがしませんか?
違和感のある方は頭の位置を変えたり、枕やクッションの高さを調節したりして自分の気持ちのいいように工夫しましょう。
左腕を背中にまわすと、よりうつ伏せに近くなります。妊娠中の場合はおなかを圧迫しないよう、うまく枕やクッションを挟んで調節してください。
■最後に
今回は妊娠中の方がメインのため左側を下に!という紹介をしましたが、食べた後など消化を助けるためには右側を下にすると良いと言われます。
食後すぐに横になる場合は右側を下にしてシムスの体位をとると良いでしょう。また、片側ばかり下に寝ていては骨盤のゆがみや肩の負担となります。
妊娠中の方以外は左右気にせず今回ご紹介したこの「シムス」、是非とりいれてみてください。