
ニキビと思って間違った治療しがちな脂漏性(しろうせい)皮膚炎とは?症状、原因、治し方や予防方法を解説
「フケがふえた」、「頭皮や顔(特に眉や鼻周辺)がやけに脂ぎっている」、「こめか みや耳の裏側が赤く、油っぽいフケみたいなのが出る」といった症状はありませんか。
それは単なる肌荒れ・・・ではなく、べとべとしてものすごくかゆい場合は、『脂漏性皮膚炎』かもしれません。
症状が顔に出た時はニキビも伴うため、ニキビの治療をしがちですが、実は原因が違うのでなかなか治らないことがあります。
自己流の対処法ではかえって状態を悪化させてしまうので、お医者さんで診てもらいましょう。
正しい知識をつけて、正しい治療を行うようにしましょう。もちろん、素人判断せずにお医者さんにかかることが最も治療への近道です。
どんな症状?
頭や顔のTゾーン、耳、背中、わきの下、股など、皮脂分泌がさかんな場所に湿疹ができ、炎症がおこります。
症状が頭皮にでた場合は、菌の刺激であかくなり、強いかゆみが出たりします。シャンプーをしてもすぐに皮脂が大量に分泌されるので、頭皮はつねにベタついています。この状態がながくつづくと、毛穴をつまらせ毛根周辺に炎症がおこるため、髪の毛がほそくなり抜け毛にもつながりやすくなります。
症状が顔に出た場合は、あきらかなニキビだけでなく、そこかしこにブツブツができます。顔のザラつき、テカり、かゆみ、皮むけなどの症状もあり、女性にはとくに精神的ダメージが大きいでしょう。
いったい何が原因?
わるさをしているのは「マラセチア菌」と呼ばれるカビの一種です。カビと言っても、この菌は誰の身体にも存在するごくありふれた菌で、ふだんは皮膚の奥深くでおとなしくしています。しかし、栄養がたくさんあると爆発的に増えてしまい、皮膚の炎症やフケの原因となります。
お医者さんでの治し方
ニキビが出るといってもニキビ薬を塗っても、原因菌がちがうので意味がありません。
ファンデーションの厚塗りやピーリングは肌の負担になりますし、フケやかさつき防止にと保湿剤などを塗るのも逆効果なので女性は特に注意が必要です。
皮膚科を受診すると、菌をへらすケトコナゾールクリーム(ニゾラールクリーム)という抗真菌剤や、炎症をおさえるステロイド剤を処方してもらえます。
ステロイドとはもともと人体に存在するホルモンを化学的に合成したもので、過剰な免疫反応を抑える作用があります。併用して、同効能の内服薬が処方される場合もあります。 これらを服用して症状がおさまるまで様子をみましょう。
しかし、せっかくおさまっても、脂漏性皮膚炎は再発することが多くあります。原因菌が再増殖することがあるからです。そのため、治療には根気と忍耐が必要です。
予防するには
完治させるためには、病院の薬だけにたよらず、再発させない環境づくりも大切です。
そもそもは皮脂の異常分泌が原因ですので、くずしたバランスをととのえてあげましょう。「ストレスを溜めない」、「アルコールを控える」、「良質な睡眠をとる」、「正しい食事をとる」のはもちろん、ふだん使用しているシャンプーを見直してみましょう。
市販されている物の多くは石油系で、あわだちも香りもよいのですが、洗浄力が強すぎます。かわりにアミノ酸系シャンプーを使いましょう。最近はドラッグストアなどで手軽に購入できるものもふえました。爪を立てずにやさしくあらい、しっかり流すようにしてください。
そして、脂っこい食べ物は極力さけ、ビタミン類を意識的にとるよう心がけましょう。ビタミン群は体にとても重要な栄養素で、なかでもビタミンB とビタミンCは積極的にとりたいものです。レバー、大豆、卵、カツオ、マグロなどに多くふくまれるビタミンBには、皮膚や毛髪、爪などの細胞を再生するはたらきがあり、野菜や果物におおいビタミンCには、ウイルスや細菌にたいする抵抗力を向上させるはたらきがあります。
最後に
フケやかゆみといった症状が、ほかの皮膚炎と似ているため、それが脂漏性皮膚炎だと気がつかず、誤った対処法をして方がたくさんいるようです。皮膚のべたつき、かさつきをくり返し、赤らみやかゆみをともなう場合には、脂漏性皮膚炎をうたがってみましょう。