
俗にいうおたふく風邪!耳下腺炎(じかせんえん)の症状や治し方は?
顔がパンパンに腫れて、熱が出て、のどが痛み、口を開けるのもつらい・・・、『耳下腺炎』、俗にいう「おたふくかぜ」ですね。
大人になってからかかると重篤化しやすいですし、一度かかると終生免疫がつきやすいので、できれば子供のうちにかかっておきたいですね。
今日はそんな耳下腺炎についてです。
どんな症状?
耳下腺(じかせん)と顎下腺(がっかせん)が腫れます。腺はそれぞれ耳の下(奥歯の上)とあごの下(奥歯の下)に位置しています。
耳下腺炎には「流行性」と「反復性」とがあり、性質が若干ことなります。共通の症状は、あごのラインにそって腫れてくることと、つばがでる時に痛みをかんじることです。
流行性は、左右両側が腫れる場合がおおく、頭痛、発熱、全身倦怠感などもともなうことがあります。また、一度かかると抗体がつくられ、二度とかからなくなります。
いっぽう、反復性は片側しか腫れることがなく、したがって症状もかるめです。しかし、中学生くらいになるまでなんども発症をくりかえします。厳密には「おたふくかぜ」とは区別されます。
大人の場合はもっと深刻です。症状はおなじですが、すべてにおいて重度化します。
また、合併症の危険が格段にあがります。髄膜炎(ずいまくえん)、脳炎、膵炎(すいえん)、難聴、女性は卵巣の病気、そして、とくに男性は睾丸の病気が心配です。
「成人男性のおたふくかぜ=睾丸の病気」ともいわれるほどで、熱をもった陰嚢部(いんのうぶ)が3~5倍にまで腫れあがり、うずくようなたえがたい痛みが出ます。
ひどくなると精子がつくられず、男性不妊の原因になってしまいます。
いったい何が原因?
「ムンプスウイルス」が原因です。とくに幼児が感染リスクが高いです。咳、くしゃみ、会話などによって空気中にとびちった病原体を吸入することにより「飛沫感染(ひまつかんせん)」します。
治し方・対処法
ムンプスウイルスに対する治療法はありませんので、今でている症状をおさえたり、自然治癒が基本です。発熱には解熱剤を、痛みには鎮痛剤を、耳下腺の腫れには抗生物質がもちいられます。
家庭での対処法としては、まずは安静にすること。発汗による脱水症をふせぐために、こまめな水分補給も大切です。症状は1週間くらいでおさまります。
反復性は人にはうつりませんし、ムンプスウイルスは感染力があまり強くないため軽視されがちですが、流行性は人から人へうつります。
成人に感染した(させた)場合には、重篤な合併症をひきおこすこともありますので、安易な登校、出勤はひかえましょう。
予防するには
有効な抗ウイルス剤が開発されていないため、集団生活に入る前にワクチンで予防しておくことが、いまのところ最も有効な予防法です。
予防接種をしても感染することはありますが、比較的かるい症状ですむそうです。しかし、感染しても症状にでないこともおおいため、予防接種をしているかも定かでない方が多いかもしれません。
これが大人も感染する大きな理由です。予防接種はお早めに。
自分で普段から意識しておこないたいことは、小まめなうがいと、レモンなど唾液の分泌をうながすものを食べることです。
最後に
「おたふくかぜ」っていう名前も滑稽だし、顔がぷくっと腫れて、なんだかかわいらしい病気かな、と思ったら大間違い!症状がひどいときは、激痛で食事も、しゃべることさえはばかれます。
大人になると、そのつらさは「子供の症状の比ではない」とか。子供の病気だとおもっていたら、たいへんなことになるかもしれませんよ。