
痩せの大食い!?それって甲状腺機能亢進症では?症状、原因、治療方法など
「私、どれだけ食べても太らないのよね」―実にうらやましいですね。
でも、本人にとってはうれしくないことなのかもしれません、『甲状腺機能亢進症(こうじょうせんきのうこうしんしょう)』という病気のせいで「太らない」のだとしたら・・・。
最近ではテレビでもフードファイターやイケメン、美女による痩せの大食いが人気ですが、じつはこの痩せの大食いには注意が必要です。
甲状腺機能亢進症という病気の可能性があるからです。今日はまず甲状腺機能亢進症とは何かを紹介します。
どんな症状?
食べているのに痩せる、安静にしているのに心臓がどきどきして脈がはやい、体中に汗をかくなどが甲状腺機能亢進症の特徴です。
ほかにも、血圧があがる、神経が過敏になる、夜ねむれない、やけにテンションがあがり活動量がふえるなどの症状もみられます。
「身体がかってに暴走している状態」なため、感情的になって急におこりだしたとおもったら、疲れて落ちこんだりします。
代表的な病気に『バセドー(バセドウ/バセドウ氏)病』があります。この病気になると、眼がギラギラし顔つきがきつくなったり、眼球がとびだしたようにギョロっとしてきます。首が太くなったように見えることもあります。
いったい何が原因?
甲状腺とは、のどぼとけの下のあたりにあり、甲状腺ホルモンを作り分泌している臓器です。甲状腺ホルモンとは、たとえて言うならば機械にさすオイルです。
どんなにいい機械も、オイル不足でさびついていたり、オイルが多すぎて「やる気120%!」だとうまく機能できませんよね。甲状腺機能亢進症は、血液中の甲状腺ホルモン量が多すぎて身体が空回りする病気です。
甲状腺機能低下症とおなじく、甲状腺機能亢進症も自己免疫の異常が原因の場合が多くみられます。
甲状腺にホルモンを分泌するよう指示を出す物質に「似た物質」がつくられ「ニセの指示」をだすので、甲状腺がフル活動します。
甲状腺がはれるのは、すべての指示通りホルモンをつくろうとして甲状腺が「増築」されたためです。
治療方法
治療法は3つ、投薬治療、アイソトープ治療、手術です。
投薬治療では、ホルモンの量をおさえる薬を使用します。数年服用をつづけることで症状はおさまってきますが、再発する可能性が高いので、最終的にはアイソトープ治療や手術を決断される方がほとんどです。
アイソトープ治療とは、放射性ヨウ素というカプセルをのんで甲状腺機能を正常化させます。「放射性物質?こわい!」と思われるかもしれませんが、使用するのはごく微量なので心配はいりません。
効果がでるまでに数か月かかりますが、薬を飲むだけという手軽さと、傷跡を残さないという大きなメリットがあり、高い確率で完治がみこめます。とはいえ誰もに適している治療法というわけではありませんので、医師に相談してみてくださいね。
手術では甲状腺の大半を切除します。即効性があるので「とにかく今すぐ治したい!」という方にはおすすめです。
予防するには
甲状腺機能亢進症の時は、全身に負荷がかかっています。いろいろな食品を食べ、不足する栄養充分に補給するようにしてください。
水分補給もお忘れなく。唐辛子やアルコールなどの刺激物は代謝を促進させるので、さけたほうがいいでしょう。そして、無理はせず疲れたときは早めにねて睡眠をじゅうぶんにとるようにしましょう。
心理的なストレスも原因の一つです。ゆっくりお風呂につかったり、音楽をきいたりして、リラックスする時間をつくりましょう。
喫煙はいけません。発症する原因になることはもちろん、治療を長引かせたり、再発率もたかくします。
最後に
のど以外に症状が出るので、甲状腺機能亢進症は気付かれにくいです。
患者さん自身でも体のコントロールができず攻撃的な性格になり、周囲から誤解されやすいようです。
性格が急にかわったなどのサインがみられたら、周りの方が受診をすすめてあげましょう。