
空咳が止まらない!最近すぐ息切れする!それって間質性肺炎では?
ちょっと動いただけでゼイゼイ、ゴホゴホ。呼吸器系の病気は似たような症状がおおく、素人では判断がむずかしいですよね・・・。
それ『間質性肺炎』かもしれませんよ。
この病気は肺が硬くなって伸縮性をなくし、呼吸が十分に行えない病気です。進行が比較的ゆっくりなので、気づいたときはかなり病気が進んでいることもあります。
不調を感じたらできるだけはやめに医師に相談してみましょう。
どんな症状?
空咳と息切れです。タンは出ません。急な動作をしたときや、冷たい空気を吸い込んだときなどに咳込むことが多いようです。
長く咳こむと体力的にもつらいですね。そのうち、ちょっとした動作でも息切れを感じるようになります。例えば、ふつうに服を着替えようとしただけでも息切れしてしまうことがあります。
人によっては疲労感、微熱、体重の減少、筋肉痛や関節痛などの症状がでる場合もあります。
症状からすると、ややもすれば風邪や咳喘息などと勘違いする可能性もありますよね。
いったい何が原因?
肺炎の多くは肺の「内側」に炎症がおこすのですが、この場合は「外側」、肺壁に問題が起こります。経過や治療方法も肺炎と間質性肺炎は大きく異なります。全く別の病気だとご理解ください。
間質性肺炎は肺壁が硬くなる病気です。組織が厚く硬くなることを専門的には「線維化する」といいます。指などをけがした時に硬いかさぶたができますね、あのイメージです。
傷をふさごうとしてコラーゲンなどが集まり、線維化を起こすことはよくあります。でもそれが、やわらかく繊細な肺におこったら・・・。
柔軟性を失った肺は、呼吸にあわせて伸びたり縮んだりができなくなり、十分な空気の交換ができません。
間質性肺炎には原因が明らかなものと不明のものとがあります。
わかっているのは金属粉や粉じん、ハウスダストと呼ばれるカビ、ペットの毛、さらにはウイルス、放射線(低い線量なら日常的にでています)など日常の刺激で肺が炎症をおこし、線維化がおこなわれます。
炎症をともなわないものは、「なんらかの理由」により肺が過剰に線維化をおこなっています。「特発性間質性肺炎」とよばれ、原因が不明なので難病の指定をうけています。
治し方
治療の基本は、原因物質を排除することです。
炎症をおこしている場合は、ステロイド剤や免疫抑制剤で炎症をしずめて線維化をふせぎます。
呼吸が苦しい場合には、酸素吸入や呼吸のトレーニングを行うこともあります。また、咳がひどい場合には咳止めが処方されます。
炎症がない線維化が主体と考えられる場合は、進行を遅らせる薬を使用しますが、残念なことに病状は悪化していき、余命数年だといわれています。
予防するには
原因物質に暴露しないようにするのが一番ですが、とりあえず自分でできることは禁煙です。この病気に限ったことではありませんが、たばこは百害あって一利なしです。
ある報告によると、薬剤や健康食品が原因で間質性肺炎がおきたり、悪化したりすることもあるようです。薬剤の服用はできるかぎり最小限にし、服用ついては医師にご相談ください。
かぜなどの感染症も症状を急激に進行あるいは悪化させることがあります。冬場は人ごみをさけ、うがい、手洗い、マスク着用などの一般的な予防をし、気になる症状がある場合にはすぐに外来を受診するようにしてください。
最後に
楽しいときも辛いときも、寝ているときでさえも、肺はいつでもまじめに空気の交換をしてくれています。
新鮮な空気を取り込んで、汚れた空気を出す、「当たり前」のこの作業がうまくできなくなってしまったとしたら・・・。異常を感じたらはやめに受診しましょう。